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【京都・葵祭】見どころとスケジュール徹底紹介〜2024年版〜

都大路の初夏を彩る「葵祭」。祇園祭時代祭とともに「京都三大祭」の一つに数えられています。平安時代の優雅な王朝装束に葵の葉を飾った行列で知られる「葵祭」の2024年の見どころやスケジュールを紹介します。

葵祭」の歴史

葵祭」は上賀茂神社下鴨神社の例祭。祭の起源はとても古く、6世紀の欽明天皇(539年~571年)の時代まで遡ります。

当時、京都をはじめ全国が風水害に見舞われて飢餓・疫病が流行しました。そこで賀茂大神(賀茂社)の崇敬者・卜部伊吉若日子(うらべのいきわかひこ)に占わせたところ、賀茂大神の祟りとのこと。賀茂大神の祟りを鎮めるために4月吉日を選んで、馬に鈴を懸け、人は猪頭(いのがしら)を被って、駆競(くち・かけくらべ)して盛大に祭りを行ったことが始まりです。

葵祭の正式名称は「賀茂祭」。祭儀に関わる人や社殿の御簾(みす)・牛車に至るまで二葉葵を桂の小枝に挿し飾ることから一般的に、「葵祭」と呼ばれています。「源氏物語」や「枕草子」、「徒然草」などの文学作品にも登場する伝統あるお祭りです。

絢爛豪華な 5月15日 路頭の儀

路頭の儀とは

葵祭」のクライマックスは「路頭の儀」。平安装束を身に着けた人約500名・馬約40頭・牛4頭・牛車2台・輿1丁が巡行します。行列は本列本列(乗尻、検非違使志検非違使尉、山城使、御幣櫃、内蔵寮史生、馬寮使、牛車、御馬、和琴、舞人、陪従、内蔵使、勅使、牽馬、風流傘)と斎王代列(命婦女嬬采女斎王代)に分かれています。

祭のヒロイン、斎王代

葵祭」のヒロインといえば煌びやかな衣装を身につけた斎王代十二単、おすべらかしの髪に金属製の飾りである心葉(こころば)を付け、額の両側には日陰糸(ひかげのいと)を下げ、手に桧扇(ひおうぎ)を持ち、帖紙(たとう)を十二単の懐に入れています。

葵祭の本来の主役は天皇の使者で、行列の最高位者である勅使ですが、現在では斎王代が「葵祭」の見どころになっています。斎王代平安時代には内親王が「斎王」として祭に奉仕していましたが、鎌倉時代に途絶えていました。昭和31(1956)年、葵祭を盛り上げようと市民から斎王代が選ばれるようになり、現在に至っています。

行列コースと時間

5月15日の「路頭の儀」のスケジュールは次のとおりです

京都御所・出発(10:30)→堺町御門→丸太町通河原町通下鴨神社・到着(11:40)→社頭の儀
下鴨神社・出発(14:20)→下鴨本通洛北高校前(14:40)→北大路通→北大路橋(14:55)→賀茂川堤→上賀茂神社・到着(15:30)
→社頭の儀

葵祭

「路頭の儀」の観覧は有料観覧席がおすすめ!

葵祭」の「路頭の儀」が行われる日には京都御苑下鴨神社参道に有料観覧席が設けられて、ゆっくり座って優雅な行列を眺めることができます。

全席指定なので、場所取りの心配も無用。行列はとっても長いので、あらかじめ決まった席でゆっくり座って見ることができるのは魅力です。

他にも見どころいっぱい!葵祭の「前儀」

5月15日の「路頭の儀」に至るまでの「前儀」と呼ばれる儀式が行われます。観覧可能な儀式もあります。そこで「葵祭」の「前儀」を紹介します

4月25日 献香祭

献香祭(けんこうさい)では葵祭の場をお香の香りで清浄にし、無事を祈願します。香道茶道・志野流(しのりゅう)の家元・蜂谷宗家(はちやそうけ)が神前に銘香・朱の玉垣(あけのたまがき)を献香します。(一般見学不可)

5月1日 賀茂競馬足沙式

5月5日の賀茂競馬に先立ち、馬の走る組み合わせを決めるため、出走する馬の優劣を見極める儀式です。脚の速さ、健康状態、年齢に加え、騎手である「乗尻」の技量などをチェックして、当日走る順番を決めます。烏帽子に浄衣の装束で乗尻が騎乗した馬は、一ノ鳥居(南)から本殿側(北)に向かって1頭ずつ試走、その後2頭駆けも行われます。馬の速さや乗尻(のりじり)の所作の人馬により、「上の上」から「下の下」までの9段階で評価されます。

会場:上賀茂神社
日時:5月1日13:00頃〜

5月3日 流鏑馬神事

下鴨神社の糺森の馬場で行われる神事です。神社境内の糺の森に設けられた約400メートルの直線馬場の途中3カ所に的を立て、束帯姿の射手が馬上から鏑矢で的を射ます。地鳴りとともに疾走しながら近づいてくる馬の迫力と、射的の妙技は見ごたえ抜群です。

会場:下鴨神社
日時:5月3日14:00〜

5月4日 斎王代女人列御禊神事

斎王代女人列御禊神事は、十二単をまとった斎王代以下、女人列に奉仕する女性が身を清める神事で、上賀茂神社下鴨神社で毎年交互に行われます。十二単姿の斎王代童女を従えて、清流に両手を浸して身を清めます。とても優美な王朝絵巻を見ることができます。

上賀茂神社では斎王代が「ならの小川」に両手をひたして身を清め、女人列は形代(かたしろ)で罪・穢れを祓います。下鴨神社では斎王代が「御手洗川」に両手をひたして身を清め、女人列は斎串(いくし)で罪・穢れを祓います。

日時:5月4日10:00〜

5月5日 歩射神事

葵祭の沿道を弓矢を使って清める魔除けの神事で、祭の安全祈願とされています。馬上から矢を射る流鏑馬に対して、歩射神事は地上で矢を射ることに由来しています。弓の弦を引き鳴らして、邪気を祓う神事が執り行われた後、鏑矢を楼門の屋根を越えて飛ばす「屋越式」をはじめ、大きな的を射る「大的式」、連続で矢を射る「百々手式」がそれぞれ行われます。

場所:下鴨神社
日時:5月5日11:00頃〜

5月5日 賀茂競馬

上賀茂神社で12頭の馬が2頭ずつ左方の赤・右方の黒に分かれて行われます。舞楽装束に身を固めた乗尻(騎手)たちが、菖蒲根合わせ、必勝祈願の奉幣の儀を行った後に、約400メートルの芝生の直線馬場で左右に分かれて馬に乗り、計5番10頭が順番に出走します。1馬身ほどの差をつけてスタートし、差が広がれば前の馬の勝ち、縮まれば後ろの馬の勝ちになります。

寛治7年(1093年)にはじまり、今日まで続いている平安時代の古い様式を現代に伝える歴史的な行事です。

場所:上賀茂神社
日時:5月5日14:00頃〜

5月12日 御蔭祭

比叡山山麓にある御蔭山(御蔭神社)から神霊を本社へ迎える神事です。

この祭りは日本最古の神幸列として、毎年神馬の背中に神霊を遷し本社に迎えるという古代の信仰形態を今に伝える祭りとして有名です。

いくつもの神事が執り行われた後、境内の糺の森で御神霊を迎えた喜びの「切芝の神事」が行われ、その時に東游(あずまあそび)の舞と雅楽が奉納されます。

場所:御蔭神社~下鴨神社
日時:5月12日09:30頃〜

5月14日 下鴨神社堅田供御人行列鮒奉献奉告祭

琵琶湖畔の堅田から下鴨神社に鮒と鮒寿司を献上する儀式。

一行はまず最初に堅田地域を巡行し、その後下鴨神社に移動します。奉献奉告祭では糺の森から本殿まで巡行し、唐櫃で運んだ鮒・鮒寿司などを奉献します。

堅田は1090年(寛治4年)に神前に供える供物を調達する御厨になりました。

場所:下鴨神社

5月15日 社頭の儀

天皇の勅使が祭文(宣命)を奏上し、幣物を奉納する儀式。

神職は祭文・幣物を受け取って神前に献じ、神宣・返祝詞を返します。祭文(宣命)は上賀茂神社下鴨神社を合わせて一通で、下鴨神社上賀茂神社での社頭の儀の後に上賀茂神社に納められます。

5月17日 献茶祭

葵祭を締めくくる上賀茂神社での最後の行事です。茶道の表千家裏千家の交代で行われます。家元宗匠が御籍舎(みふだのや)で点てた濃茶・薄茶を本殿のご祭神に供ます。境内に副席が設けられ、お茶を頂くことができます。

2024年は裏千家の担当です。

5月下旬 煎茶献茶祭

煎茶献茶祭は葵祭を締めくくる下鴨神社での最後の行事です。煎茶献茶祭では神職が神前でお祓いなどの神事を行い、小川流家元が点てた煎茶を東・西本殿の神前に供えます。境内に煎茶席・玉露席が設けられます。