吉野山・金峯山寺で毎年2月に開催される節分会は、日本の伝統行事の一つであり、特に「鬼火の祭典」として知られています。この行事は、鬼を追い払うだけでなく、逆に鬼を迎え入れるというユニークな儀式が特徴です。
鬼火の祭典とは
金峯山寺は、奈良時代に修験道の開祖である役行者によって設立されました。この寺院は、修験道の根本道場として広く信仰を集めており、特に「鬼火の祭典」として知られる節分会は、役行者が鬼を法力で呪縛し、仏法を説いた故事に基づいています。具体的な起源は不明ですが、少なくとも千年以上前から行われているとされています。
中心的な儀式は「鬼の調伏式」。「福は内、鬼も内」という掛け声が特徴です。全国から追われてきた鬼を迎え入れ、経典の功徳や法力によって改心させることを目的としている吉野山ならではの儀式です。
行事の流れと内容
2月2日(日) 9:30〜
日数心経の読誦が始まります。
2月2日(日) 11:00〜
星供秘法と鬼の調伏式が行われます。
この調伏式では「福は内、鬼も内」と唱え、全国から追われてきた鬼を迎え入れます。
2月2日(日) 12:00〜
採灯大護摩供が厳修されます。
この儀式では、大護摩の火を用いて浄化と悪霊退散が行われます。
2月2日(日) 13:00〜
福豆まきが行われます。
参加者全員で豆をまき、改心した鬼たちが喜びの「鬼踊り」を披露します。
行事の見どころ
鬼の調伏式
この儀式では、全国から追われてきた鬼を迎え入れ、「福は内、鬼も内」と唱えます。これは、鬼を単なる悪者として追い出すのではなく、迎え入れて、経典の功徳や法力によって改心させることを目的としています。このアプローチは、他の多くの寺社で見られる「鬼は外」という考え方とは大きく異なります。
採灯大護摩供と鬼踊り
採灯大護摩供は、火を用いた供養の儀式で、主に護摩木を焚いて仏に祈りを捧げるものです。火は浄化や悪霊退散の象徴とされています。この儀式では、女性行者が中心となって導師や諸作法を行います。修験道において女性による採灯大護摩供は金峯山寺だけの特異なものであり、他の寺社ではあまり見られない形式です。
また大護摩の火の周りを改心した鬼たちが「鬼踊り」が行います。これは改心した鬼たちが喜びを表現するために踊るもので、観客にとっても楽しみの一つです。このように、鬼を敵視するのではなく、共生を促す文化が根付いています。
鬼火の祭典キャンペーン2025 in 吉野山
「鬼火の祭典」の時期にあわせて、吉野山観光協会では伝統行事を盛り上げる下記のようなイベントが開催されます。
鬼歩き
1月25日(土)〜27日(月)、31日(金)、2月1日(土)
11:00〜11:45 場所:吉野駅付近/12:00〜14:00 場所:金峯山寺蔵王堂付近
金峯山寺燈火
2月1日(土) 17:00〜
子どもたちの鬼灯火カップ展示
奉納演奏 和太鼓幻想
2月1日(土) 20:30〜21:00 場所:金峯山寺蔵王堂境内
笑の会 笑豊巻き販売
2月2日(日) 11:30〜14:00 場所:金峯山寺聚法殿
葛湯500杯おもてなし
2月2日(日) 11:00〜 場所:金峯山寺蔵王堂境内
「鬼火の祭典」は現代では、この行事は地域振興や観光資源としても重要な役割を果たしています。地域住民と観光客が一緒になって楽しむことができる貴重な機会となっており、地域文化の継承にも寄与しています。受けがれてきた伝統や文化が今も根付いていて、地域の人々の温かさを感じることができる吉野山に出かけてみませんか。